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やがて陸攻は、いつしか茶店の前で立ち話をしていた事に気づき苦笑する。
「行こう小十郎君。
商売の邪魔になってしまう」
「御意」
やがて陸攻と同じことに気づきながら真之。
茶店の奥から出て来た男女二人組に呼び止められたのは、それからすぐの事であった。
「ちっくと待ってつかあさい先輩方。
どうやらあしと同じ目的らしいき」
「たち、が抜けましたわよ?
辰馬さん、50点」
「!
杏さん!?
何故沖縄に?」
流石に驚きつつ陸攻。
すると何故か顔を赤らめた杏の代わりに、辰馬が口を開くのであった。
「まず立ち聞きをお詫びさして貰いますき勘弁してつかあさい。
あしも杏先生も、先輩方と同じおなごさんを探しているんぜよ」
「そちらの方は初めましてですわね。
秋からグラローク生徒の担任となる予定の、藝州秀英学院附属女学校教師山下杏と申します」
そう言って真之に一礼すると、杏は陸攻と真之に茶店の奥へ入るよう勧める。
すると心得たもので、茶店を営む若夫婦は素早く店の入口にかかっていた暖簾を外し、代わりに
準備中
と記された札をぶら下げるのであった。
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