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その頃那覇市街では、成田智と松宮碧が危ない所を地元の人間らしい若者に助けられていた。
その若者が二人に絡んだ連中を睨みつけるなり、連中が蜘蛛の子を散らすようにすごすごと退散した所を見るに、その若者が地元では相当名の知れたワルらしい事が窺える。
やがて智と碧が殆ど同時に
「ありがとうございます」
…と若者に一礼しながら礼を言うと、その若者は
「気まぐれだ。
気にするな」
…とだけ言って立ち去るのであった。
後にはぽかんとした表情を浮かべた智と碧が残される。
「智様…」
「ああ…
なんだか一式君かオニブン君みたいな人だったね」
そんな言葉を交わしつつ、二人はグラロークの捜索を再開する。
とは言え闇雲に探し回っていても埒があかないので、二人は地元の知り合い…正確には智の同期に連絡を取ってみてはと思い当たるのであった。
尚、既に沖縄入りしている新坂大尉を二人が初めから宛にしようとしない理由が、碧が新坂を毛嫌いしているからなのは言うまでもない。
「智様。
足軽頭様は確か…」
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