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「足軽頭?
ああ、一式君か」
碧の言葉に思わず苦笑しながら智。
どうやら碧にとっても、陸攻は足軽頭であるらしい。
「ロネ先輩のお話では、足軽頭様は府礼亜村の御出身だそうですわ」
「府礼亜村か…
遠いのかな…」
府礼亜村と聞いても智がピンと来ないのもやむを得ないだろう。
智は嵐山程陸攻と親しくしている訳ではないから、沖縄の地名といえば那覇くらいしか知らなかったのだ。
はっきり言ってしまえば、知らなくとも何ら支障がないのである。
「さっきのクマみたいな人に聞いてみれば良かったね」
「智様…」
今度は碧が智の言葉に苦笑する番である。
しかし失礼だの何だのと言わなかった所を見ると、先程の若者は碧から見てもクマみたいな人と映ったらしかった。
「そういえば智様。
はるこさんお元気かしら?」
懐かしそうに碧。
碧にとってツキノワグマのはるこさんは、北尾つかさから自分を守ってくれた恩人ならぬ恩熊。
クマと聞いてすぐ思い浮かぶのも当然なのかもしれない。
実際智が誕生日プレゼントにと碧にクマの縫いぐるみを進呈した所、碧は大層喜んでくれたのだ。
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