褐色の豆台風。

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一方静乃は、そんな嵐山に暖かな眼差しを注いで止まない。 今揺られている混合列車のように、決して無理をせずゆっくりと確実に育んで行けば良い… 心の中で静乃は、自分で自分に何度もそう問い掛けていた。 そして口を開く。 「私もそう願います。 あの艦は一等巡洋艦摩耶です」 「…みさきのおかん来てはるんでっか?」 そう問うた嵐山に対し、静乃はどちらとも解釈出来そうな微笑を浮かべて見せる。 お互い惹かれつつあるとはいえ、さすがにまだ 「貴方がそうおっしゃったからです」 …と口にするのは恥ずかしいらしかった。
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