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「そうですよ水雷長。
鵜沼さんも私も、一食一食に魂を込めていますからね」
「うんうん、摩耶のライスカレーは殿下のお墨付きを頂戴出来たものな岡本」
「しッ!
気が散るから少し静かにしてくれ皆。
それと主計長、後でギンバイに行くから人参を用意しておいてくれんか?」
口元に苦笑いを浮かべながら大山崎長矢(おおやまざき=ちょうや)海軍特務大尉。
摩耶の砲術長を務める漢である。
ギンバイという本来士官には縁の薄い言葉をシレッと使った事からも、彼が特務士官…一兵卒からの叩き上げ士官である事を物語っていた。
因みに五人の中で海軍兵学校を出ている者は、服部安針大尉ただ一人である。
やがて大山崎を除く一同がこれは一本取られたわいと苦笑する中、大山崎は何やら小声で呟くのであった。
「ほう…
帝国海軍一番の至宝におよそ700人の家族にワイの願望とは…な。
嬉しい事を随分と気前よく言ってくれるじゃないか。
それに、吹雪型と初春型の見分けがつく上にアレにまでも気が付くとは…
航海長5分前、久々に面白い奴が見つかったぞ。
威嚇射撃してでも、何とかしてアイツを摩耶に引っ張り込む訳には行かんか?」
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