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なんだかここ数日やけに騒がしくて、大学内のバカどものクソみたいな声が響き渡っていたな――と、白川に今日が何の日かを聞いて納得した。
そういやあ今日はクリスマス・イブか。
「寒くなってきたし暖房付けるね」
来てほしいと言われたから来たコイツの部屋。部屋に入った瞬間にそう言って、座ろうともしない白川に呆れちまう。
「あったかい飲みものでも……」
「とりあえず座れ。何のために家に帰ってきてるのか分からなくなるだろうが」
寛げる場所で慌ただしいってバカみたいだろうよ。
コイツのベッドに座っている俺の隣をポンポンと叩くと、少し迷ったみたいな顔をした後にようやく腰を下ろした。
付けていた手袋を外し、感覚が鈍くなった手を見る。やけに視線を感じて横目で見ると、白川が何かを考え込んでいた。
どうせこのクソ真面目のことだ。手を握ってあげたいけど、それをして俺に怒られないかを思案してるんだろう。
長いこと一緒にいるくせに、そんなことも分からねえとは。
「手、だせ」
半ば強引にその手を掴み、体温を奪う。まったく、いろんな意味でムカつくな。
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