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地下鉄の駅の構内は、真夜中みたいだった。
ホームは静まり返っていて、人の姿はない。
一瞬「あれ?」と思った。
階段を下りているときに発車の合図が鳴っていたのは知っている。
だから、大勢の人は電車に乗って行ってしまったのだとわかっていても、地上のザワザワした喧騒を思うと不思議な気がした。
深呼吸をして、息を吐き出すと同時に両手に持った荷物と肩にかけていたカメラバッグを下ろす。
ふうーっと、体から力が抜けた。
三つの袋の中には、スーパーでは絶対に買うことのない量の野菜が詰まっている。
今日の取材での収穫。
無農薬野菜を畑からもぎ取って、その場で料理をしてくれるというレストランはとても魅力的だったけれど、帰り際に持たされた野菜の量は罰ゲームみたいだ。
重い荷物を抱えて歩き続けていた私には、不意に洞窟のような場所に逃げ込んだような感覚がかえって心地よかった。
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