14 ゆれる想い

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「やっぱり、こうしてると安心するな」 目の奥と胸の奥が、きゅうっと締め付けられたように痛んだ。 私は、気持の置き場所が分からなくなる。 なにも知らないふりをしていれば、このまま暫くはうまくやっていけるのだろうか。 もう一度、もう一度だけでもいいから抱き合うことができれば、諦めがつくのかもしれない。 そんなことを考えて、自分が惨めになる。 藤木さんは、もうすぐ他の女性と結婚する。 これまでの優しさは巧みな演技。 私は男の人を知らなすぎた。
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