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言葉は行き詰ってしまったのに、勢いのついた気持ちは止まらなかった。
「日下部さんが、しばらくニューヨークへ行くかもしれないって」
「それと俺たちのことと、なにか関係があるのか?」
「一緒に行かないかって言われました」
一瞬の間があった。
「仕事でということか?」
私は無言のまま首を横に振った。
「もちろん断ったんだろ?」
「別に私が誰と付きおうと、誰とどこに行こうと、藤木さんには関係のないことですよね」
「本気でそう思ってるのか?」
「そうじゃないんですか?」
「そんなわけないだろ」
赤く充血した眼が、私を睨んでいた。
眉根に深い皺ができていた。
この人はどうしてこんなに怒っているのだろう。
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