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「あまりに突然すぎて、なにがなんだかわからないよ」
藤木さんはそう言うと、顔を覆うようにしてため息を吐いた。
「俺は、これからの人生を後悔したくもないし、無駄にもしたくない。だから、自分の気持ちに正直に生きようって決めたところだ。勝手だって言われても仕方がない。でも・・・」
「帰ってもらえますか」
「理沙」
「帰ってもらえますか」
藤木さんは、もう何も言わなかった。
立ち上がると、脱いだ上着とネクタイを手に取った。
そうして玄関に向かって歩き出す。
「落ち着いたら、連絡してくれ。いつでもいい。何時でもいいから」
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