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地下鉄を降りて、アパートまでの道を歩いている途中で、飲みに行こうと連絡が入った。
今日の取材が体力的にひどく消耗したこともあって、部屋でゆっくり休みたい気もしたけれど、肩の荷物を思い出したら出掛ける気になった。もらった野菜は、一人で食べるには多すぎた。
江美里からの誘いはいつも突然だけれど、それは私の性格をよく知っているからだとも言える。
人に誘われると軽い気持ちで承諾してしまうけれど、その間に面倒になることが多い。
つい断る口実を考えてしまうということを、以前彼女に話したことがあった。
三十分後には、江美里と向かい合って、居酒屋の掘りごたつに座っていた。
彼女は先ほどからずっと、フライドポテトをとてもリズミカルに一本ずつ口へと運んでいる。
そのほかにも唐揚げやたこ焼きなど、油分の多い料理がテーブルの上に並んでいて、若いなあと思う。実際に江美里は、私より八つ年下だ。
「ねえ、タッちゃんのことは、もういいの?」
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