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「もうこの先、タッちゃんにときめくことはないの?」と江美里に聞かれた。
「この先・・・もなにも、そもそもときめくってことがどういうものなのか、私にはわからないのよ」
すると江美里は、わざとらしくため息をはきながら「相変わらずだなあ」と言った。
「先生は、結婚なんてどんな男の人でも同じだって思っているでしょう」
「そうは思っていないけど、世の中のカップルのうち、いったいどれだけの人たちが燃えるような恋をしたのかなと思うことはあるわ」
大人になるとわかると思っていた。
でも、いくつになっても解明できないことは、世の中にはたくさんある。
できることなら、教えて欲しい。運命の人って、出会ったときにときめくものなのだろうか。それとも、育んでいくことで、運命の人に変わるものなのだろうか。
こんな話をしながら、私は平和だなと思う。
こうして二十八年も生きてきたのだから。
彼氏に浮気をされても、別れを告げられても、笑っていられるのだから。
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