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吸血鬼としてもう長いこと生きているものの、女遊びなどしたことがない俺はそういった行為に殆ど免疫がない。
「ふぁ……あ…ぁ、くっ……!
レイ兄……」
えもいわれぬぞくぞくする感覚が背筋をのぼりつめていく。
錠で繋がれた手でソコを舐めるレイ兄の髪を掴むものの、力が入らない身体ではびくともしなかった。
「憎んでいたら、こんなに心乱されることなどなかったでしょうね……ジェリン」
「んぁっ…!」
先への期待に疼きを訴えるソコが解放され、代わりにレイ兄の手が俺の顔を挟むように置かれた。
――その時、すぐそこに迫るレイ兄は傷付いたような顔をした。
レイ兄がそんな顔をするなんて滅多にないことだと俺は知っている。
「…………そんなに嫌ですか」
「レイに……?」
覆い被さっていたレイ兄は俺から体を退け、揺れ動くウォーターベッドからすぐにも立ち上がった。
「興が削がれました。
今日のところはこれで勘弁してあげます」
「……え……」
いつの間にか拘束が解かれていた手錠の輪から腕を外し、上体を起こした俺はそこで初めて自分が泣いていることに気付いた。
レイ兄が出ていったドアの奥から遠ざかっていく靴音が聞こえてくる。
「レイ兄…………」
これを仕置きと呼ぶのか、それともまた別の何かなのか――その時の俺はまだ知ることができなかった。
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