ジェリン編〈1〉仄かな想い

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 レイ兄には女が何人もいる。  全員人間で、もっと言えば、レイ兄が担当する契約者らはみな例外なくレイ兄の玩具になりたがる。  俺の契約者は勿論、レイ兄自身の者達も。  つい先日、アド兄が人間になったことで、二年の任期を終えることなく契約を解除した者達は、突然仲介者であるレイ兄との別れが訪れたことに納得できず、泣き付かれたという。  もちろんそれは、突然の解任だけの話ではなく、任期を終えるごとにそういった問題は起こっていた。  レイ兄がアルビの街から戻ってくると、シャツに口紅の跡や首筋へのキスマークが色濃く付いていることがよくある。  見て見ぬふりをするのが賢い大人のやり方だと思う。  気になる気にならないは別としても。  でなけりゃ、やっていられない。  ヒステリー起こして騒ぎ立てでもすれば、レイ兄はうんざり顔で興味を失せたように冷淡な眼で玩具を捨てるだろう。  そうやって女を捨てていく話を、レイ兄は何故か俺に何度も何度も言って聞かせる。  その度に俺は興味もないような涼しい顔をして相槌を打ち、影で溜め息をつく。  そんな関係でもうかれこれずっとやって来たわけで、今さらこの関係がどうなるわけもない。  このまま長い目で見ていけば、いずれレイ兄に伴侶ができるまでそのような悶々とした日々は続くのだろう。  そう思っていた。
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