ジェリン編〈2〉いなくなったレイ兄

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 一人取り残されたような何とも言えない気分に陥った俺は、せめてもの気晴らしにとダイニングの窓から外を眺め見る。  結構な量の雨は大地に幾筋も幾筋も絶えず降り注ぐ。  元々肥沃なこの土地の水捌けはいいものの、量が量だけに溜まり水は傾斜に沿って流れていく。  大粒の雨に打たれ、薔薇の葉がゆらゆらと不気味に揺れ動いていた。  「あーー、ダメだ。  余計に気が滅入るな……あ?」  薔薇庭園の奥から、広げられたカラフルな二本の傘がこちらへと向かってきていた。  ***  「久し振りだな、アド兄。  会わない内に髪が伸びたな」  「ああ、そろそろ切りに行こうかと思ってるところだ」  人間の時間枠ではもう深夜2時を回っている頃合。  久し振りに訪れた二人をダイニングに案内し、俺は久々にアド兄と積もる話を始めようとしていた。  「レイウッドは居ないのか?」  「あ、ああ、レイ兄は最近ここに戻ってきていないんだ。  ふらりとは戻ってはいるんだろう。  食事の補充はしていってくれているみたいだからな」  貯蔵庫には、つい昨日新たに補充された血液パックが並んでいた。  「喧嘩でもしたの?」  黙ってジュースを啜って話に聞き耳をたてていたアルトが不意に顔をあげた。  「喧嘩……というか、まぁ…それが原因だと思われることはあった、たぶん」  その内容までは話すつもりはないけどな。
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