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「猫のあなたは素直ですね」
もっとして……本能が与えられる刺激を悦んでいる。
樹の下で横になる時のような微睡みが俺の意識を混濁させる。
レイ兄……そんな優しく抱くな…よ。
それは俺が猫の姿だからなんだろ?
「気持ちがいいですか?
喘ぎ声がないとこちらとしては物足りないですが……そんなあなたを見ているのは悪くない」
微睡みからそろりと眼を開けてレイ兄の顔を覗き込む。
――――!
破顔……これまで見たこともないような。
なんでそんな顔するんだよ……っ。
「にゃー……」
「そのままでいいですから、聞いていただけますか?
この話を聞き終えたら、もうあなたを解放してあげます」
高圧的な態度も、仕置きを愉しむそぶりも見せることなく、レイ兄はただ、柔らかく笑ってから、
「……話し終えた後、あなたはワタシの顔も見たくないと言い出しそうだ」
自嘲するように苦々しく口の端を歪めた。
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