ジェリン編〈2〉いなくなったレイ兄

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 「猫のあなたは素直ですね」  もっとして……本能が与えられる刺激を悦んでいる。  樹の下で横になる時のような微睡みが俺の意識を混濁させる。  レイ兄……そんな優しく抱くな…よ。  それは俺が猫の姿だからなんだろ?  「気持ちがいいですか?  喘ぎ声がないとこちらとしては物足りないですが……そんなあなたを見ているのは悪くない」  微睡みからそろりと眼を開けてレイ兄の顔を覗き込む。  ――――!  破顔……これまで見たこともないような。  なんでそんな顔するんだよ……っ。  「にゃー……」  「そのままでいいですから、聞いていただけますか?  この話を聞き終えたら、もうあなたを解放してあげます」  高圧的な態度も、仕置きを愉しむそぶりも見せることなく、レイ兄はただ、柔らかく笑ってから、  「……話し終えた後、あなたはワタシの顔も見たくないと言い出しそうだ」   自嘲するように苦々しく口の端を歪めた。
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