第1章

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「龍臣、お前は俺の部下たちにこんなにも信頼されてるんだ。誇りに思え」 隣で龍正が笑う。 龍臣は嬉しいと思う反面、めんどくさいことになったと複雑な気持ちだった。 龍臣side 大将を戦闘不能にさせるか、それとも殺すか…どちらかで勝敗は決まる。 組のルールに反することでない限り、どんな方法を使ってもいい。 食事のあとに親父からそう聞かされた。 長い廊下を歩きながら俺は今日何度目かのため息を吐く。 ルールとやらは今日決まったようだが、戦争はもう始まっているのだ。 その証拠に、昼間血の気の多い輩を10人ほどのしたばかりだ。 今や顔も覚えていないそいつらもルールは知らなかっただろうに、やっていたことは正しかった、ということになる。 そのままある場所を目指していると、隣にふっと気配が降りてきた。 「面白いことになったな。大将?」 「…うるせえ」 笑いを含んだその声の主は亜笠だ。 また勝手に出てきやがって…と思うも、もういつものことだから仕方がない。 そのまま隣を歩き出した亜笠は愉しそうに言う。 「また龍臣の戦う姿が見れるわけだ。ま、どうせお前に敵う奴なんかいないだろ。いたとしても…」 不意に言葉を途切れさせたかと思えば、腕を引っ張られた。 強制的に亜笠の方を向くことになる。 紅い瞳は俺の目をまっすぐ見て、唇がにいっと弧を描いた。 「俺がタツを死なせねえから」 そう言った亜笠の瞳が鈍く光ったようで、ゾクリとした。 なんとなくそのまま見つめていると、大きな手が目の前に現れ…デコピンされた。 「いって…」 「…見すぎだバカ野郎」 亜笠は鼻で笑うと、ふっと霧のように消えた。 おちょくりにきただけかよ。 イラッとしながらも、また歩き出した。
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