第2章

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翌日。 龍臣は扉をノックする音に目が覚めた。 あれ、この前まで襖だったのに、と思うだろうがあの後やはり洋式に変えられたのだ。 いつの間に。 龍臣は一回目を開けるも再度閉じてシカトを決め込んだのだが、ノックは鳴り止まず、しかもどんどん激しくなっていくではないか。 龍臣がシカトしているのを扉越しの人物は勘づいているのだろう。仕方なく返事を返した。 「失礼します。起こしちゃってすみません。てか若さん無視してましたよね」 入ってくるなり何やら失礼な言いがかりをつけてきたのは佐竹だ。図星だが。 龍臣はベッドに潜ったまま佐竹を睨みつける。 「二度寝しただけだ」 「それが無視っていうんです!」 適格なツッコミをしてくる佐竹に龍臣はめんどいと思いながらも、重い体を起こす。 「…で?」 短く要件を促せば、佐竹はちょっと灯りを…と言い薄暗かった部屋の灯りをつけると、龍臣の傍に来てカーペットの上へ正座をした。 「ちょっと頭首から言伝を頼まれたんで伝えにきました。今日の夕方頃、第三倉庫の辺りで密入国者の麻薬取引が行われるという情報を手に入れたんですけど、それの阻止に若さんに行ってほしい…と」 「無理」 「ちなみに拒否権はないとのことです」 「……」 即答で拒否した龍臣に、わかってましたと言わんばかりにこちらも即答で返す佐竹。 巷では大柄な体躯に凶暴なその容姿も相まって恐れられる龍臣も、組では意外と扱いをわかっている者が多い。 心底めんどくさいという顔をする龍臣のことを気にせず、佐竹は続ける。 「何人か護衛も同行させますけど、乗り込むのは若さん一人で…だそうです。前に同じような仕事あったじゃないですか?あん時若さんがところ構わず暴れたせいで一緒に同行してた組の奴らも怪我して、大変でしたから…今回は一人でだそうです。良かったですね!思う存分暴れられますよ」 「よくねえよ」 龍臣は笑顔で告げる佐竹の頭をベシリと叩いた。 「めんどくせ…親父は?」
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