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XXXX年、陽の国。
そこでは、今までにない程大きな戦いが起きようとしていた。
陽の国は四つの区域に分断されている。
東区域の青龍、南区域の朱雀、西区域の白虎、北区域の玄武。この四つがそれぞれの組織の名前だ。
四つの組織は今までも何かと対立することが多かった。
しかし今度の戦いはそれとは全くもって別物。
そろそろ全区域をまとめる頭を決めようかという意見が誰かから出たのが、戦いの始まるきっかけだ。
現頭首は次期頭首である者に自分の組織の未来を託す。
そしてこの物語の主人公である、青龍の次期頭首の十束龍臣[トツカタツオミ]もまた、全区域の頭を取るために奮闘して………いなかった。
「…ちっ、めんどくせぇ…」
空に昇る太陽の光が申し訳程度にしか入ってこないような路地の袋小路。
真昼間だというのに薄ら寒く、無機質な壁に囲まれたその場所に、心底不機嫌そうな声音が響いた。
声の主である龍臣の周りには、約10人ほどの男達が地に伏している。
その内の一人の背中に座り、煙草をふかしている灰色の髪の男が龍臣だ。
ちょっとした散歩にと外を歩いていただけだというのに、いつのまにか大人数に囲まれ、いつのまにか戦闘になり…その結果が今の状況である。
極度のめんどくさがり屋な龍臣でなくても不機嫌になるというものだ。
陽の国の一柱である青龍の次期頭首な龍臣だが、本当は戦争とか面倒だし一日中眠って過ごしたいと常々思っている。
我儘を言うなら次期頭首だって願い下げしたいところだ。しかし現頭首(親父)直々に言われては逃げることもできない。
煙草を肺一杯に吸い込み、煙と一緒に深いため息をついた龍臣。
さてこいつらをどうするか、と視線を真下に投げかけたときだ。
口に挟んでいた煙草を誰かの手によって奪われた。
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