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美美は引き下がらず、一歩歩み寄ると部屋中を見まわす。 「死体? 死体って何? どの部分が死体なの?」 「はぐらかすな。美美、匂いは?」 「微かにしか」 美美がピアノを指差すと銀太は口笛を吹く。 「心臓から一番遠い部分から朽ち果てていくんだ」 「死体が?」 「さあね」 ウサギを撫でる銀太は、ふわふわした取りとめのない、無意味な会話しかしていない。 「ねえねえ、珊瑚くん」 美美がピアノの前屋根を開ける中、銀太は静かに珊瑚を見る。 折れてボロボロで骨が飛び出し、ビニールが破れている傘。 その傘を差して、美美の後ろにいる珊瑚を。 「はい?」 「昔昔、12人の研究者が禁忌の実験をしたらしいよ。知ってるよね?」 「実験?」 「その研究者の中に、5歳で博士号を手にした若き天才科学者とその助手で同じく天才科学者の女の子がいたらしいんだけど」 銀太は、ゆっくりと美美を見る。 「君たち、知ってる?」
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