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「珊瑚、警察に連絡して」 銀太の質問を遮ったのは美美だった。 「指がある。――腐敗が進んで酷い有様の指が、バラバラに」 「あ、ああ」 こんなに簡単に尻尾を出すとは思わず戸惑いつつも携帯をズボンから出そうとして、銀太がクスクス笑い出す。 「いいの?」 「いいって」 「そんなことしたら、星丸の手術の痕も夢琴の秘密も俺が今すぐ此処で消すよ?」 ウサギの星丸を優しく撫でる反対の手にはナイフが握られている。 「時間が狂ったら、彼の足取りは分からない」 「彼?」 美美が珊瑚を自分の背中に隠しながら銀太に聞く。 銀太は、隙のない笑顔を作り立ち上がると、窓辺へ立ち空を見上げる。 「君たちのボス『秒針』が、探しているのは、コードネーム『アダム』。夢琴の御兄さんに知恵を授け、君たちをバラバラにし、唯一のあの日の実験の『記憶』を知るもの」 「アダム?」 「食べたら駄目な禁断の実を食べたアダム。彼は禁忌を犯したんだからピッタリ」
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