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「また、会いましたね」 自習室に、昨日の男の子がいた。 星丸の世話係とか言って銀太に断られていて珊瑚くんだ。 壁一面に本棚が埋められていて、窓際は、一列に机が並べられていて仕切りがある。 授業中だから、誰も居ないと思っていたので、私は本棚の一番上にはどんな本が並んでいるのかと端にあった脚立で上り、脚立の一番上で座って埃まみれの本を手に取って開いていた時だった。 珊瑚君は、眩しいぐらいの太陽の日が入って来る自習室の真ん中で、傘を差して私を見上げていた。 「君、肌でも弱いの? いつも傘を差してるね」 「いいえ。濡れるのが苦手なんです」 「ふうん」 傘を差したまま近づいてくる珊瑚くんに、自由時間を奪われた気がしてちょっと気分は良くなかった。 けれど、彼はにこにこ笑顔で近づいてくる。 「まるで、わざと君と僕が接触できるように考えられた機会に、傘を差さずにはいられなくて」 「良く分からないこというね」 「人の作られた運命の上をなぞることぐらい退屈な人生はないから」
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