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珊瑚君も、銀太みたいに自分の世界で完結して独り言のように話しかけてくる。 それは、私に話しかけているのか疑問だったけど。 同じ格好で、同じポーズで、一言も話さないで動かない、そんなつまらない授業を受ける他の人たちよりはマシだっと思いたかったのかもしれない。 「何の本を探してるんですか?」 「敬語はいいよ、なんか息がつまりそう。退屈だから、上の誰にも読まれない本手に取ってみたかっただけ」 「ふうん。面白そう、ですか?」 だから、敬語……と思いつつも埃を息で吹き散らしながらページをめくってみる。 黄ばんだ重くて埃臭くて汚い本は、文字が読みにくかった。 「聖書の解説とか逸話みたいな本だね」 「へえ」 「アダムの骨からイブは作られたんだって。あはは、アダムとイブって聞いたことあるけど、アダムには前奥さんにリリスって人が居た説が」 私の言葉を遮るように、傘がふわりと地面に落ちる。 傘から顔を出した珊瑚君は、両手で耳を押さえていた。 「珊瑚君?」
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