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「僕、非科学的な話は嫌いです」 「あ、ああ、そうなの」 「だれも立証も証明もできない話なんて、すべて嘘です」 瞬きもせず、ただただ前を見ながら、そう言う。 本をパタンと閉じて元の場所へ戻すと、脚立から降りて珊瑚君を見た。 人形みたいに無表情かと思えば、年相応に笑ったり、こんな風に怯えたり。 やっぱり、この学園に染まっていなくて珊瑚君は面白い。 「ごめんね。怖かった?」 「いいえ。ただ、思い出したらいけない琴線に触れるワードは耳を塞ぐようにしています」 「ふうん?」 「危険だと、肩から雨に濡れていく」 「!?」 見ると、珊瑚君の両肩のシャツが見る見るうちに染みを作って濡れていっている。 汗だろうか? 汗にしては――急激に肩が濡れている。 急いで床に放った傘を差しだす。 「風邪ひいちゃうから」 「驚かないんですか?」 珊瑚君は傘を受け取ると、少し首を傾げた。 私が傘を差しだしたことに、疑問をぶつけて。 「うーーん。私のおにいちゃんも変な人だったから、まだ珊瑚君の方が血が通っている感じがするし」
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