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脚立を、部屋の隅に片付け、珊瑚君の方へ戻ると彼は呆然と私を見ていた。 「どうしたの?」 「貴方は、銀太さんに俺と接触しちゃいけないと注意されてませんでした?」 「あ――。そうだったけ。まあいいよ、銀太はそんなことで怒る人じゃないもん」 確かに、銀太は珊瑚君を歓迎していなかったけど、それは異質なものは統制を乱すからじゃないかな? この個性がいらない学園には特に。 「じゃあ、貴方に質問がいっぱいあります」 「うん?」 「お兄さんは本当に死んだんですか?」 傘から、片目だけ此方を見上げて珊瑚君が言う。 「思い出すなって言われてるんだけど……」 「何で警察からも逃げてるの?」 「うーーん」 珊瑚君は、どうやら私のあの日の記憶を知りたいらしい。 触れてはいけない、あの日も事に。 「銀太という人物は、何者?」 その質問には目を見開いてしまった。 銀太は銀太だ。 そう言おうとして、初めて会った日の泣いている銀太が脳裏を過ったから。
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