≪ 生い立ち ≫

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 貴菜子は幼少時代より一人ぼっちだった。両親も揃っていて、姉妹も出来たのだが心はいつも寂しかった。アパートの砂場のサイドにある石のロングベンチの上に小さい砂の山をひとり作って遊んでいる写真がある。その写真がその頃の私の全てを物語っている。勿論、その他の写真も何となく暗い表情が多い。人は瞬時に人に順位を付ける。そうでないと否定する人は、認めたくないか、または分かっていてその事実を隠蔽したいか、更には全く無意識で無神経なのかのいずれかである。  人は残酷だ。貴菜子は、同世代の友達にはいつもその優先順位をビリにされる。蔑まれやすい体質なのである。選ばれない私は、外にいても必然的に一人で遊ぶことが多いのである。
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