第1章

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第1章

貴菜子は夜の歩道をひとり、新青梅街道を新宿から田無方面へ向かって歩いていた。深いグリーンのアンゴラ入りのハーフコートのスタンドカラーに肩を竦ませながら、ひたすら歩いた。子供の頃から一人は慣れている。時折、横を通る車のライトに姿を映し出されながら、長い道のりを歩き続けた。 ♪  螺旋階段下りるように、過去を登りつめて来たわ。   見上げれば “夢”、見降ろせば “闇”、足元危なく揺らぐ…    揺るぎのない愛を欲しいと思うけど、                 雲を掴むほど歯痒い。   差し伸べた掌、そっと触れて温めてくれる人は誰。♪
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