破壊=卒業

2/14
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
研究室には、機密を登録した七台のパソコンがある。 研究員達が七台のパソコン画面の前に群がっている。 百四十名の関係者は各々、事態に怯える。 紙に書かれた遺書とこれからの未来に幸を願う言葉は、床に伏した遺体の願い。 それに関わらず、誰もが画面を注視する。 言うまでもない。 遺体が残した最後の贈り物が、今正に惨事を引き起こそうとしているのだ。 画面に表示されているカウントダウンは、三十三分を切る。 彼らが黙視しているのは、パソコン画面だ。右端にカウンターが取り付けてある。中央画面にはパスワードを入れる欄とパスワードのヒントだ。 一機に約二十名が集まる。その中でも中心に詰めよった人々はパスワード欄を前に苦悩の呻き声を漏らしていた。 転がった遺体に岡田朔がコートを掛ける。 それを無視し、パソコン前の椅子に腰掛けた流星が呟いた。 「誰だ。誰がこのパソコンを動かした? 怒らないから名乗り出ろ。とりあえず殴るから」 「珍しく支離滅裂」 言葉にぼやきは漏れる。朱華だ。役一年半に渡り、研究室に携わり実験と試行錯誤の末に開発と製作に携わってきた仲間の突っ込みだ。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!