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そよそよと心地よい風が吹き、揺れる長い髪の隙間からはピアスが覗く。
村は静まり返り、人の気配は感じられない。
宿場を探そうにも、既に閉まっているようだ。
「(さて、どうするかな。)」
先程酒場から出てきた子供の名前は【アル・リンドウィル】。
太ももまである長い髪に真ん丸大きな青い瞳の、可愛らしい女の子の様な出で立ちをした男の子だ。
立ち寄った酒場で朝まで過ごすつもりだったが、騒音(バンダナ青年)に耐え切れず出てきてしまった。
春の訪れを感じながら、野宿も悪くないなと村の外れへと足を向ける。
村を出る手前で立ち止まると、アルは一言呟いた。
「僕に何か用…?」
振り返り見る視線の先にはミランの姿。
酒場からずっとついて来ていたのだ。
「え?えーっと…うーん…」
アルの問いに対し、歯切れの悪い返事をする。
しばし待つも話を切り出さないミランに軽く会釈すると、アルは視線を戻して歩き始めた。
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