【battle 2:この世は必然か偶然か】

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「…分かった。払う。」 予想外の言葉にアルは振り返る。 背中を向けたままのミラン。 「お前…そんな額「確かに今は持ってない!…だから、今はこれで引き受けて貰えないかな。」 アルの言葉を遮り、振り向くとミランはあるものを差し出した。 それは金箔で彩られた小さな箱。 上部には不死鳥の刻印が施されている。 それは、今は亡きある王国を象徴する紋様だった。 「これ…何処で…。」 「昔、ある人に貰った大切なものなの。この価値、ハンターなら分かるでしょう?売れば50万なんて額じゃ済まない筈よ。」 下を向いたまま、そう言って差し出すミランの手は震えていた。 なんでそこまで…そう言いかけた口を閉じ、溜息交じりにアルは箱を受け取る。 「…分かった。」 その言葉に顔を上げるミラン。 「ありがとう!私はミラン。ミラン・ノーウェル。宜しくね!」 「…アル・リンドウィルだ。」 アルの手を取り満面の笑顔でお礼を言うミランに対し、アルはほんの一瞬、口角を上げるのだった。
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