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これがむき出しの肌の見える夏であれば、女嫌い、その骨の髄までという潔癖な果心堂の事だ。
触れられただけでまた、激しいじんましんを発症させかねない。
ここまでくると、女嫌いというよりは、むしろもう女性恐怖症と言ってだろう。
実際、涼などは、そう口にして憚らない。
……女性恐怖症の吸血鬼。
肉を食べないライオンでも、ここまで痛ましい感じはしないかもしれない。
この現代に、女性を避けて道を歩くなど、まさしく、生きにくいといったらなかろう。
同行を御願いする人、間違えたかしらん。
桜木は小さく眉をよせ、申し訳なさげに、首を傾けた。
★★★
彼の名は桜木鷹。いまは生計を喫茶店経営で賄っている。
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