【 桜 木 】

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 気もあうし、そんなこんなで今回もわりに気安くこの京都行きを誘い、断られることもなかったから、さして深くも考えずにいたのだが……  ようやく渡月を渡りきって、一息つく。  ホッとしたのもつかの間、顔をあげ、彼と果心堂は目を見開いた。  めざす大河内山荘へは、まだまだ歩かねばならないが、間に庭で有名な天竜寺や竹の道などのある風光明媚な場所だと思っていた。  しかし、紅葉のこの季節、観光客の数はまるで年末の市場かと疑う有様だ。人、人、人であふれかえっている。  顔を見合わせ、小さく溜息をつきながら肩を落とした。 ★★★  
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