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上等だ。
何の力もない官吏であることは知っているが、肉の盾として、せめて彼の大切な人をしばし護ることくらいできるだろう。
しかし、気楽な京都観光が、どうしてこのような仕儀になってしまったものか。
果心堂は左手に握る愛刀の鯉口を割る瞬間を測りながら、小さく毒づく。その額に、滲んでいるのは脂汗だ。
「それもこれも、あの天魔の阿呆のせいではないかッ! くそ、あの、大迷惑の破壊巫女め……助けに来るのなら、早く来いッ」
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