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「ほら、沖縄の魚、スズメダイだけでもこんだけいるんだぜ?」
「うん……」
ふぁッ……
何度目のアクビだろう?
「お前、さっきから俺が見せてやってる画像見てアクビばっかりしてんな」
一応布団は敷いたものの、横になることもなくその上で体操座りをして、ケイタがスマホで検索した沖縄の魚達の画像を見つめていた。
「いや、さすがにこんなに魚ばっか見てると飽きてくる。
生ならいいんだけど……」
山本家の水槽を見たあとじゃ、こんな小さな画面の写真を見ても物足りやしない。
「お前んち、パソコンねーのかよ?」
「ない。スマホで十分」
「仕事で使ったりしねーのかよ?」
「そんな仕事してない」
「アナログ人間か」
「………………」
仕事もしてないで、魚ばっかり見てる奴にそんなこと言われたくないわよ。
「先に寝る。あなたはゆっくり沖縄の魚でも眺めててくださいな」
兎から助けてもらったと思って邪険に扱わないけど、
……そもそも、
この間、火事になるところ助けたし、
家を覗いている変質者だとわかっているのに警察に訴えてないし、
「客より先に寝るのかよ?」
私の家で、好きな魚のうんちくを自由にさせてあげているのだから、それで十分だと思う。
「私、明日、仕事なのでー……」
ニート野郎が一番ムカつくであろう言葉を吐いて、布団にゴロッとなる。
睡魔の添い寝が心地よかった。
「おい…………まだ、終わってねーよ」
……のに、
ケイタが、
私の耳元に息を吹くように、睡魔も軽く飛ばしてしまう。
「なにが?」
飛び起きると、ケイタが嬉しそうにまた、スマホを見せてきた。
「人魚の話」
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