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てっきり、いつも回覧板を間違う、ここら辺の住人かと思ったら、
「どーせ凛々子は、仕事終わったら新しい男と会うんだろう?」
姉のダメンズ履歴書の最終欄に載ったウサギ男が、開けたドアを閉められないように、しっかり体を挟んでいた。
「……何か用ですか?」
まだ記憶に新しい屈辱の出来事が、ウサギ男との再会で鮮明に甦り、
常備的になっている胸の吐き気が、今夜は強く私を襲ってきていた。
「心配で来たんだよ」
「………………なにが?」
また、触れてきたら
今度こそ、 警察に訴えてやる。
「マグロ女が、俺の体を忘れられないんじゃないかと思って」
今度こそ、
もう少し自分を大切にしていきたいと
思い始めていたから。
「……帰ってよ」
Riririririririri!
テーブルのスマホに、今度は電話の着信音が鳴り響く。
……誰だろう?
「なんだよ、そんなツンケンすんなよ?ツンデレだっけ?」
直ぐに思い浮かんだのは、
今日連絡先を交換したばかりの朴さんだ。
「それも見当違い。そんなんだから、凛々子にフラレるんだよ」
あの人は既婚者で、
会社で有名な遊び人……。
「はぁっ?!お前、何様?上から目線で話してんじゃねぇぞ?!」
それでも、
あのキスに、
こんな嫌悪感は抱かなかった。
「ちょっと!勝手に入らないで!ここ、私の……」
「うるせー!マグロ女ー!お前みたいな可愛くもねー根暗な奴は、俺ぐらいの男の処理器になってればいいんだよ!」
私と、繋がりたいと____
キスをしたいと思ってくれる人がいてくれて、
「ちょっと!!やめてっ!」
0だった自分の価値が、少しだけ上がったような気がしていたから。
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