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「まだ挿入してなかったか」
この状況においては、救世主であるはずの山本ケイタ、
その口からは、兎男と同様のゲスな言葉が出てきた。
「誰だよ?」
まだ、背中が痛いのか、ゆっくりと魚男の方を振り返る兎男。
「おれ?ご近所さんだよ」
言い方へん
「凛々子の男か?」
「残念ながら。
ただ、いつものように姉妹の部屋覗いてたら、強制ワイセツの現場見ちゃって」
「覗き~?」
こいつも、犯罪者だよ。
「わずかな正義感持って訪ねてきちゃったよ、 ねえ、まだ、それ決行しちゃいますか?」
「持ってきてたのは回覧板じゃねえのかよ?!」
だけど、
けして、私に危害は加えない。
「遠目だけど、あんたがここに至るまでの記録もちゃんと残してるから、早くここから消えたほうがいいっすよ、
姉がダメだから妹に乗り換えるってのも超カッコ悪いし」
「うるせー!」
スマホをちらつかせた山本ケイタに、
「あっ……て!!」
一発、肘鉄を食らわしてから
部屋を逃げるように出て行った兎男、
「覚えてろよ!」
と、定番の負け犬の捨て台詞を吐いて、
私を、
ううん、
山本ケイタと私を笑わせていた。
「……あ、ありかと」
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