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「あいつ、またくるんじゃないの?」
「もう、玄関 開けないよ」
兎男が出ていき、車の発進音が聞こえると、
笑いが消えて、ホッとしたのか、少し目頭が熱くなった。
それを見られないように、少し散らかった玄関を片付け始めた私。
「ストーカーになりかねーな」
「ストーカーするなら凛々子にすればいいのに」
ケイタが言ったように、
凛々子にフラれたからと、私にしつこくするのは、自分に自信がなくて、
私程度なら何とかなるって言う失礼な理由からだと思う。
「凛々子には、ちょっと悪そうな彼氏いるからじゃね?」
″とうぞ″
とか言ってないのに、勝手にリビングでくつろぎだした山本ケイタは、
狭い一室をキョロキョロしている。
「悪そう?岸島さんが?」
イケメンで紳士的なのに?
「俺からしたら、あの若さで建設会社社長してるなんて、ヤクザにしか見えない」
「建設業=ヤクザなんて古い考えじゃない」
この人、覗き程度でどごまで知ってるんだろう?
「このタンス、下着入れ?」
「はっ!?ちょっと、なに触ってんの?」
人んちのタンス勝手に開けようとする厚かましさは、生まれ持ったものだろうか?
「凛々子の下着、見てみたい」
「……」
だいたい、そもそも、こいつ、本当にたまたま家を覗いてたの?
「ね」
「ん?」
干してある洗濯物を、凝視する山本ケイタ。
この人の本質や真意が全く見えない。
「ホントにスマホであいつが部屋に入るところ撮ってたの?」
「正確には、あいつが来る前から撮影してた」
「見せて」
「…………いいけど怒るなよ?」
「見せて!」
なんか嫌な予感がして、
アルバムの中の動画をクリックすると、
「あ″っ」
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