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館を出た和仁たちは騎乗し、布都斯たちに見送られて屋敷を出た。
爾多郷と宍道湖、中海を見おろしながら馬が館から遠ざかると、馬上の和仁の耳元で遠呂智の声がした。
『儂が身罷って、西利太が村になった・・・。
出雲、隠岐、石見、伯岐が大倭になれば、お前の思惑どおりではないか・・・』
『なっ、なんとっ・・・』
「いや、良かった。良かった。
村下のじゃなかった。村上が言っていたとおりになったなあ」
驚いている和仁の横で、馬上の鉄穴衆が喜びを隠さずに言った。
『頭領は俺と鉄穴衆の心を読んでいた・・・。
頭は我らの思いを叶えたのだ・・・』
和仁の目に涙が浮んだ。
(大倭1 出雲編① 遠呂智 了)
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