紙一重

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菅原くんは、放課後になってもずっと黒板を見つめていました。 竹内くんが呆れて帰っても、ずっと黒板を見つめていました。 今日は遅く帰るつもりなのです。 今朝、新しいメッセージが書き込まれていました。 菅原くんが文房具屋を訪れたのは開店直後ですから、顔も知らない誰かは菅原くんが帰った後にメッセージを書いているのです。 今日の内に答えを聞きたい。あわよくば、メッセージを書いているところに出くわしたい。菅原くんの考えはこうでした。 そろそろかな、席を立とうとした菅原くんは、廊下でたまっている女子の会話を聞きました。 ーーああ、そういえばね。面白い噂があるのよ ーー洋子は本当にそういうの好きね ーーだって、ワクワクするじゃない ーーはあ……。それで、噂ってなあに ーー××交差点の文房具屋があるでしょう。あそこの試し書きね、【菅原】っていう謎の人物と会話ができるらしいのよ。 小学生とか、女子高生とか、大人の男の人もいたわね、とにかく色んな人が質問を書いたり、【菅原】の質問に答えて遊んでるのよ。何書いても律儀に答えてくれるから大人気なの ね、わたしらもやってみない 菅原くんの中で大切なものが砕け散りました。 ーーねえ、菅原って、うちのクラスの…… ーーああ、そういえばいたわね ーー洋子告られたじゃない ーー忘れちゃうのよ。アイツ、地味だし ーー酷いこと言うのね ーーあはは、ごめんごめん。あ、それとさ……
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