紙一重

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その日、菅原雄介くんは恋をしました。 場所は××高校三年八組の教室です。 相手は水上洋子、三年生で初めて同じクラスになりました。 一目惚れでした。 水上洋子の姿が、仕草が、匂いが、全て愛おしく思えてきます。 クラスメイトの竹内孝太郎くんに相談してみました。 ーー水上って、彼氏とか、いるのかな 竹内くんはため息をついて、菅原くんの肩を叩きます。 ーーとりあえず言ってこい。さっさと行け 菅原くんは鼻息をふんふんと鳴らして水上洋子の前へと歩み寄ります。 ーー水上さん ーーなあに ーー好きです 菅原くんの顔は真っ赤でした。 竹内くんは二人の方を見ようともしません。 水上洋子は何も言わずに、何も聞かなかったかのように、教室から出ていきました。 菅原くんはフラれたのです。 高校に入ってから、これで十八回目の失恋でした。
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