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菅原くんは文房具屋のドアをくぐりました。
一人です。竹内くんは用があるんで一人で帰りました。
菅原くんは、まあまあの広さがある店内を迷いなく進みます。
ここは、菅原くんの通う高校の生徒御用達の文房具屋ですから、どこに何があるのかよくわかっているのです。
ーーやあ、あったあった
いつも使う四色ペンを掴んだ菅原くん。
ふと、違和感を覚えて棚の上を見回しました。
ーーあ、なんだこれ。試し書きかな
それは真新しい小さなメモ帳でした。
ペラペラとめくってみます。まだ何も書かれていませんでした。
ーー(よし、最初の試し書きをしてやろう)
四色ペンを握った菅原くんがにやりと笑いました。
ーー(何を書こう。名前でも書こうかな)
ーー(恥ずかしいかな)
ーー(でも、最初だもんな。記念すべき最初だもんな)
しばらく考えて、外が薄暗くなってきた頃、ようやく菅原くんはメモ帳の一ページ目に何かを書き始めました。
『はじめまして』
菅原くん的に上出来でした。
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