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「先生、その兎さんって…足を怪我してたりしました?」
「そうそう!多分穴に落っこちたからだろうね~
あれ?その話ってしたっけな?」
「いえ、あの……もしかしたら、その兎さんは……」
僕には、不思議な記憶がある。
暗闇にぽっかり浮かぶ空色の月の記憶。
ずっと、小さな僕の生み出した想像の産物だと思ってたけど、本当は僕が僕の居場所を見つけるための道しるべの記憶だったんだ。
「たっだいまーーーっ!!」
「ったく、靴ぐらい並べろよな。……今、帰ったぞ」
「あ、フユ君とハルキ君が帰って来たですっ!今晩の夕食当番はフユ君ですからー、楽しみですね~っ」
「そうだね~」
ニンゲンになって良かったかどうかは、僕にはハッキリと分からないけれど、きっとこれで良かったんだよね。
END
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