ある冬の一日

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「あ、ハルキ!こんな寒い中、歩いてきたの?さあ、早く入って」 「おっ邪魔しまーーす!うぉぉ、あったけー」 リビングに通され、ソファに腰掛けると、蓮は優しく笑って、温かいお茶を持ってきてくれた。 蓮はいつでも優しくて誠実な感じだ。 「雪降ってたんだね。まつ毛に雪、付いてるよ」 「あ、マジで?」 モコモコに着込んだコートを脱ぎかけ状態でもごもご動いていると、蓮の長い指がオレの顔に近づいてきた。 思わず目を閉じると、触れるか触れないかのところをフッと指が通る感覚だけがした。 「はい。取れたよ」 「お、おう。サンキュー」 さすがアイドルなだけある。 なんか、妙に心臓がばくばくしたぜ! そのばくばくをかき消すように、二階からすごい勢いの足音が降りてきた。 「チョッと、ハルキ君来てるんじゃないデスかぁ!!」 「あ、麟。」 「もー、待ちくたびれマシタヨー。早く部屋に来てくだサイ」 麟に連れられて、リビングを後にする。 蓮が口パクで『気をつけてね』ってやっていた。 まあ、麟は変態だから、気をつけなきゃダメなんだけどな。
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