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数年前、ボクは擬人学園に通う生徒だった。
まだ、将来をどうしようかも考えてなくて、毎日バカなことをして、部活に打ち込んでいた。
ボクが打ち込んでいた部活は、剣道。
まあ、女の子にはあんまりモテないけど、シンとした雰囲気とか、自分と向き合う時間を大切にしたかったんだと思う。
「イツキ、今日も部活かな?」
「あ、真司。まあ、そうかな」
「最近、部活行くの楽しそうだね」
「うん!ほら、あそこ見て」
ここ最近、ボクが部活をウキウキしながら行く理由。それは……
「あ、あの子、見学なの?」
「そうなんだ。フユキ、おいで」
ぽてぽて近寄ってくるのが、フユキくん。剣道がやりたいんだって、部活を見学している。
どうやらボクの出ていた試合を見て、やってみたいと思ったみたい。
「…こんにちは」
「あ、こんにちは。フユキ君っていうのかな?」
「……うん」
フユキは、ボクの袴を少し握ってボクの方を見上げた。
「ああ、もしかして、人見知りしてるのかい?大丈夫だよ、彼はボクの友達の真司。」
ボクがフユキに笑いかけると、フユキは一度だけボクにニコッと笑って、真司にペコリと礼をした。
「えらいねー」
「イツキ、デレデレですね」
「まあね~。君が弟君にお熱なの、少しわかった気がするよ」
フユキは、きょとんとしてボクと真司を交互に見ている。すごく可愛い。
ボクには、兄弟はいないけど、いたらきっとこんな感じなんだろうな。
フユキのさらさらの髪を撫でると、彼は恥ずかしそうに下を向いた。
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