小鳥遊雄

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「…椎名さん」 「なに小鳥遊?」 ミクが行った後。 小鳥遊が私に話しかけてきた。 眠そうだけど。綺麗な目で私を見てきた。 「僕が眠い理由知りたい?」 「え?いや…どういうこと?」 私が聞き返すと少し笑ってまたうつ伏せた。 小鳥遊はたまに変になる。 たまに。 気を許したような顔をする。 やめてほしい。 私の好みだから。 顔も声も性格も、 謎がある感じも。 全部私の好みだから。 ミクを裏切るようなことしたくないから。 でも、それでも。 「…今日、放課後。 もし、僕の秘密知りたいなら工芸室に来て…」 先生が入ってくる音と。 小鳥遊の声が重なった。 「え?なに?」 「…工芸室。いいもの聞かせてあげる」 「え?」 本当は全部聞こえてた。 聞こえないふり。 聞いてないふり。 私は絶対に工芸室なんか行かない。 ミクの好きな人のところになんか。 でも、 小鳥遊の秘密を知りたいと思ってしまった。
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