あのコンビニ

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帰る足が速くなる。 別に用事はない。 ただ、これ以上あの場所にいちゃいけない気がした。 私は、何も考えずに歩みを早くする。 「あ・・・」 本当に何も考えてなかったんだな。 あのコンビニに来てしまった。 行かないようにしてたのに。 全部、小鳥遊のせいだ。 「どうしよう」 見る感じでは。 黒瀬春樹も不良もいない。 ここは、思いきってここから帰っちゃおう。 うん。それがいい。 そう思い、足を出した瞬間。 後ろから引っ張られた。 「きゃあ!」 「まって、赤だよ」 そこには、黒瀬春樹がいた。 信号がまだ赤のことに気付いていなかった。 「あ、ありがとう」 「いえいえ。最近ここ通らなかったでしょ」 唐突にそんな話をしてくるから。 私は思いっきりつかまれていた腕を振り払った。 「当たり前です。あなたがまた喧嘩してると思うから」 「そんないつもしてないよ」 はやく、青になれ。 こいつといたら気が狂いそうだ。 「あ、そういえばおれ黒瀬春樹。よろしく」 「知ってます」 「なんでー?ってそりゃ知ってるか」 信号が変わり私はまた歩き出す。 後ろから黒瀬春樹も歩いてきた。 すると、また腕をつかまれた。 「ちょっと!何するの?!」 「走って。コンビニの中にいて。俺がいいって言うまで出てきちゃだめだよ」 「はぁ?!」
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