始まりの

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午前から、いい天気じゃなかったけど。 ついに降り出した。 お昼のパンをミクと一緒に食べる。 今日は私の好きなメロンパン。 それに、ブドウジュース。 学校の購買にある、パックの。 「うわー。降り出したよ。 私傘持ってない。ユウキ持ってきた?」 「もちろん。朝、天気予報見たもん」 「うわ!裏切り者!駅まで入れろ」 「無理だよ。折り畳みだから、小さいもん」 「ひどい」 そんな言い合いをしながら。 もぐもぐとメロンパンを食べる。 こんな雨の日は。 駅前のコンビニで。チョコレートを買いたくなる。 甘くとろけるチョコレート。 なんでかわからないけど。 無性に食べたくなる。 「ユウキ~。次の古典私当たるんだけど」 「だから何?」 「つめたいな~。 見せてください」 「仕方ないな~」 たわいもないおしゃべり。 私の変わらない日常。 「あ!見てみて!黒瀬君がいるよ!」 いきなり廊下側の女子たちが騒ぎ出した。 隣の席で寝ていた小鳥遊も。 何事かと起き上がる。 「黒瀬・・・誰?」 「え?ユウキ知らないの?」 ミクが私のノートを受け取りながら言う。 黒瀬・・・どっかで聞いたことあるような。 まぁ、どこにでもいそうだし。 「理事長の息子だよ。 イケメンで優しくめっちゃ人気のある、黒瀬春樹」 「へー、知らない。初めて知った。」 「あんた、男に興味なさすぎだよね」 黒瀬春樹か。 顔はかなりかっこいい。 王子様って感じの。 さわやか系。 「でもね、これは噂なんだけどね。 なんか、裏で生徒しめてるって。理事長の息子ってのもストレスたまる時があるんだね~」 ふ~ん。 あんなにキラキラスマイルで友達と話してるやつが。 裏でそんなことしてるとは。 ちらっと、黒瀬君のほうを見た。 何気なく。見ただけなのに。 たまたま。 黒瀬君と目があった。 その瞬間。 ふって笑った気がする。 気のせいだと思うけどね・・・。
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