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明るい色の髪の隙間から覗く伏せられた長いまつげ。
ーー小鳥遊凪砂は眠り王子。
それは誰でも知っている。
深い眠りから目を覚まさせる方法も、みんな小さい頃からお伽噺で読んでいて知っている。
凪砂はお姫様じゃないけれど。
「凪砂…………起きてや」
とうとうと眠り続ける目の前の王子様。
ひたと見つめながら凪砂の襟足の髪をすく。
やっぱり砂がついていてざらりとしている。
ーー王子様に目覚めのキスをしてみようか。
その薄茶の瞳でうちを、見てや。
手元でまた一際大きくクッと砂が鳴いた。
ーーーfin
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