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ーー小鳥遊凪砂(たかなしなぎさ)は眠り王子。
凪砂がそんな風に言われるようになったのはいつからだったのか。
記憶をさかのぼっても、さかのぼっても思い出せない。
だって、記憶の中の凪砂はまぶたを閉じているか、けだるげにまぶたを持ち上げて空を見ているか。
そのどちらかだった。
今もそう。
凪砂は教室の窓際の席で頬杖をつきながら薄くまぶたを持ち上げている。
それもさっきまでは完全に閉じていた。
先生に怒られ、しょうがなくといった感じ。
どうしてそんなに眠いんだが。
あ、また寝に入るっちゃね。
凪砂の眼差しがとろんとしてきた。
くあ、とあくびをするその様子はさながらひなたで日光浴をする猫みたいだ。
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