第1章

2/26
前へ
/358ページ
次へ
「萩原(はぎわら)…お前流石にこの点はいい加減にしろよ。授業さえ真面目に出てれば解ける問題だろーが」 「へーへースイマセンね」 夏井(なつい)のヤロウ…。 わざわざ教室のみんなに聞こえる声で言う必要ねぇだろうが。 期末テストの採点済み回答用紙を取ろうと手を出した瞬間、ヒョイとそれが目の前から消えた。 俺の遥か頭上に回答用紙。 「お前だけ今日の放課後から補講だ。来週再テスト。いいな」 是と言わなければ回答用紙は返さん、という顔。 うぜぇ。 「…わぁあったよっ」 嫌味のように背の高い夏井の手に届くように爪先立ちして、精一杯体を伸ばして紙を奪い取る。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3378人が本棚に入れています
本棚に追加